設計概念

カートリッジ針の支点部がしっかりと固定されていない場合、下図のようにスプリングでの揺れがロスとなり、すべての情報が出力されずに、信号ロス分が差し引かれて、音の立上りの悪さとなったり、ロス分は歪分(高調波歪)として再生されてしまいます。

(発電信号出力)=(針の振幅)ー(カートリッジボデーのゆれ)

信号ロスは、アームを伝って構造体そのものをゆさぶりその歪音も カートリッジに戻り、これも歪音を増やしてしまいます。アームには、これを阻止するという大変重要な使命があります。

アームの材質は、撓んでしまう素材ではロスが多くなります。しかも、高い周波数まで対応できる素材でなければなりません。素材選びの哲学を簡単に例えるなら、「金槌の木製の柄は見た目には変形しないが、金属の柄では振動が直に伝わる」という点です。アーム設計は、ベースに至るまで堅固に支えられる材料と構造でなければなりません。またベースも、全体をしっかり受け止め支持できる強い構造・材質でなければなりません。

かつて鋼材のスプリングを使ったエコーマシンがあったことを思い出してください。アーム構造体の中にスプリング系の材質があるとすると、カートリッジから来たロス分の振動がこれらを揺さぶり共振となって、歪んだ音がカートリッジへと戻ってきてしまうのです。

この点を踏まえて構造と材質を考えないと、恐いことに単なるエコーマシンに堕してしまうのです。

実際にアームの機械インピーダンスループを調べると、各所で共振が発生し、構造体の中を駆け巡っています。あえて極端な例に例えるなら、リスニングルームとは名ばかりのバスルームで、反射音を拾いながら、音を濁らせて音楽を聴いているのと同じようなものです。またこれら歪音があることを承知で立ち上がりを落とさずダンプさせる構造を形成しなければなりません。

柔らかい材料で構築すると歪音は吸収されますが、立上りロスは増大されてしまいます。多かれ少なかれ、こうした現象があると知らずにレコードを聴いている現状から、ひとたび解き放たれた時に、どのような素晴らしいサウンドが実現するのか!
その真骨頂を、ぜひ本機で存分にお確かめください。

尚、改善がみられなかったときは、他の機器の改善も試みて下さい。必ず満足出来ると思います。